１３歳で、あなたを初めて見た瞬間から、わけがわからないくらい、あなたに惹かれていました。
　　　　　みんなが騒いでいたから、タイガースという流行のGSのボーカルだったから。
　　　　　そんな単純な理由で、あなたのことを好きになったわけではありません。

　　 　　　好きなJulieをともかく、いつまでも見ていたい、とそう思っていました。
　　　　　当時の女の子がみんなそうであったように・・・

　　　　　でも、ある日ふと気がついたことがありました。
　　　　　Julieは、私の面倒を一生見てくれるわけじゃないんだ、と。

　　　　　身近にいる人が一番で、僕は二番でいいんだ。
　　　　　触れてくれる人がいいんだよ。
　　
　　　　　要は､わたしはJulieに振られたのね、ていよく断られたのね、とそう思いました。
　　　　　それなら、身近にいる人が一番になるのかな。
　　　　　そんな単純な気持ちで、恋をしていったのです。

　　　　　結婚をしたほうがいいのかな、
　　　　　そんな気持ちが湧いた時、プロポーズされ結婚しようと思ったのでした。
　
　　　　　結婚って、こういうものなのね、
　　　　　 ２０代で東京に住みたいと思ってきた私の気持ちを心の奥に隠して蓋をしたまま、
　　　　　主婦の生活に入っていきました。
　　　　　年に１度、広島に来たJulieのコンサートを見ることだけを楽しみにして。

　　　　　でも、なんだか違っていました。
　　　　　こうしておかなきゃいけない、と型にはめようとした私は、
　　　　　少しストレスから病気になってしまいました。
　　　　　 当時は、それがストレスだとすら、気がついていませんでしたけど。

　　　　　それでも、まだそのままの生活を続けていました。
　　　　　それ以外に何も考えられなかったからです。

　　　　　きっかけがあって、東京にJulieを見に来るようになりました。
　　　　　そこは、本来私があるべき姿がそこにある場所でした。
　　　　　コンサート会場は、私を暖かく迎えてくれました。
　　　　　お帰りなさい、待ってたよ。
　　　　　そんな声さえ聞えるようでした。

　　　　　昔のように、Julieの姿を、ただ見ていればいい、という気持ちよりも
　　　　　コンサートで歌うJulieの姿が忘れられなくなりました。
　　　　　車に乗ったJulieが手を振って笑ってくれるより、歌が聞きたいと思いました。
　　　　　バラードを歌うJulie、ロックなJulie
　　　　　ひたすら、それを求めていました。
　　　　　３２年前に武道館で感じたあの感動がよみがえっていました。
　　　　　いろんなところでコンサートを見たいと思いました。
　　　　　少しだけ実行しました。

　　　　　でも、それは、生活を少し犠牲にすることにもなりました。
　　　　　毎日行ってるわけではないのに、
　　　　　楽しんでおいで〜、と見送ってくれるとばかり思っていたのに、実際には
　　　　　歓迎されず、Julieを見に行くことが悪いことであるかのような視線を感じ
　　　　　ストレスを発散させるために行くコンサートなのに、出かける時、帰って来た時に
　　　　　負い目を感じるようになりました。

　　　　　趣味なのに
　　　　　いや、私の中でJulieはすでに趣味なんてものではなくなっていました。
　　　　　私の体の一部でした。
　　　　　LIBERTYを書くこと、
　　　　　それが生きがいであったから、コンサートにも行ったし
　　　　　とても楽しく過ごせました。
　　　　　でも、本当は行くことによって、多大なストレスを感じることもありました。
　　　　　どうして認めてくれないんだろう
　　　　　そう思うことが、またストレスを呼ぶのです。

　　　　　それを打ち消すかのように、Julieのコンサートに足を運ぶ
　　　　　またストレスを感じる、という繰り返しのような気がしました。
　　　　　まあ、このままでもいいのかしら、とも思いました。

　　　　　でも、それは違っていました。　
　　　　　本当の私ではなかったことに気がつきました。
　　　　　嫌なことがあっても、嬉しいことがあっても、
　　　　　いつもJulieはステージで歌っていました。
　　　　　それが全てでした。
　　　　　確かに、私の好きなことだけをしているようになりました。
　　　　　このままストレスを貯めて、朽ちていくことがこの上なく怖かったのです。

　　　　　体調を崩しました、体が拒否反応をしたのです。
　　　　　それが本来の真実の私を見つめなおさせてくれました。
　　　　　私らしい、私。
　　　　　気を使わなくてもいい生活をしたい、と思いました。

　　　　　　　Julie　私、離婚しました。