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ジュリーが出演している東芝のカラーテレビ“バズーカ”のCMを最近よく見るが、あれは興がある
というか、実に出来がいい。これまで数多くのCFに出ているジュリーだが、その中でも５本の指に
入るといっていいだろう(というより、沢田研二のことをわかっている人が作ったという感じだ)。
“僕は変わった、僕は変わらない―”という15秒バージョンも、“変わっていくこと、変わらないこと―”
という30秒バージョンも、共に沢田研二というアーチストの魅力や本質にかなり迫ったもので、軽く
聴き流すこともできるが、考え出すと、とにかく深い。このCFは沢田研二以外の人では、絶対に
成立しえないし、私には、バズーカの宣伝ではなく、沢田研二のプロモーション・ビデオにさえ思えて
しまう。
CFソングになっている♪太陽のひとりごと♪は5月1日にリリース予定と
いうから、何かと久々の大ヒットにつながってほしいものだ。ところで、CFの問いについてだが、
“変わる⇔変わらない”という図式の“⇔”は、数学の記号でいうところの“≒”に置き換えられる
というのが、私の意見である。(♪ノン・ポリシー♪ほどすごいポリシーは
ないのと同じようなこと。)
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ジュリーのニューシングル♪太陽のひとりごと♪がリリースされた。
東芝のカラーテレビ“バズーカ”のCFでもうおなじみのうえ、作曲は♪ほっとけないよ♪
が大ヒットしている楠瀬誠志郎、さらにレコード会社もプロモーション用TVスポットをオンエアするなど
力を入れているだけに、久々のチャートでの動きを楽しみにしたいところ。
ただ、絶調時のジュリーなら、ヒット曲を出した楠瀬を起用するのではなく、先に起用して自ら
ヒットを飛ばし、そのあと楠瀬本人も大活躍するというパターンだったはず。何かジュリーが後手を
踏んでいるような感じがして、いるのが多少気になってしまう。まあ、なかなかいい曲だし、そんな
ことを考えずにヒットを祈りたい。このシングルのあとに控えているのが、待望のニューアルバム
♪Beautiful World♪。この原稿を書いている時点では、まだ1回しか
聴いていないのだが、はっきり言って良い出来なのだ。このアルバムについては、次回たっぷり書く予定。
1993年2月NO.191
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ニューアルバム♪Beautiful World♪が6月10日(92年）に発売された。
昨年(91年）の♪パノラマ♪が今ひとつだっただけに不安もあったが、今回は
なかなかの力作(といってもまったくリキミは、ないが)それもこれまでとは違うパターンの作品に
なている。
アルバムというのは、やはり、１曲目がポイント。♪パノラマ♪は、
１曲目を聴いてユーツな気分になったが、今回の♪アローン♪は、スピーディー
でフットワークが軽く、オープニングとしては、最適の曲だ。そして何よりも、印象的だったのは、
この曲の持つ開放感(＝解放感)。これはアルバム全体にも言えることで、今回の最大の特徴。
それも開き直りのたぐいではなく、実に前向きなのだ。スローなナンバーや、“別れ”を歌った曲が
多いのに、“悲しみ”や“暗さ”など微塵もなく、透明でピュアなカラーが全編を支配しているのも
そのせいである。まさしくジュリーの新境地というところだろうか。
作曲はジュリー本人、吉田建を
はじめ、井上大輔、鈴木慶一、南佳孝、大野克夫ら、個性派の面々。作曲は昨年(91年)暮れの
アルバム♪A SAINT IN THE NIGHT♪に日本語詞をつけた覚和歌子が、
今回も全曲を担当(１曲はジュリーとの共作)。
どの曲も派出さはないが、クオリティーは高く、ジュリーのキャラクターをうまく生かした覚
和歌子の詞もいい味を出している。(ジュリー以外では、とても成立しない)
♪A SAINT IN THE NIGHT♪や、オーケストラと共演した新春コンサート
での試みが成果となってあらわれている点も評価したい。そして何より、このアルバムがまぎれもない
『沢田研二の作品』になっているのが、ファンとしてうれしい。オーバープロデュースだった前作とは、
一変という感じだ。もっと刺激のあるモノを聴きたいという意見もあるかもしれないが、このアルバム
に関しては、これで正解だと思う。(でも売れないだろうなあ。）
それにしても、♪パノラマ♪に広がる風景が♪Beautiful World♪ というのは、お見事。今回はプロデューサー・吉田建に“座布団2枚”は、あげたい。