謎の変奏曲

　　　　　　　　　　　　2004.5.23　記

　　二人芝居というだけで、内容に関しては、わかったようなわからないような
　　無の状態で客席へ。

　　アラン･ドロンだとか、仲代達也とか、そういう名前だけ聞いて。
　　『唐版・滝の白糸』を生で体験してる私には、長ゼリフだと聞いて
　　滝の白糸を思い出した、というJulieの言葉に、あ～大変なお芝居なのね、と。

　　お芝居用のJulieの声は、とってもよく出ていて、聴きやすい声でした。
　　むしろ杉浦さんの声は大丈夫なのかな、と思うほどでした。
　　赤毛は、変わっていましたけど、黄色が似合うラルセンでした。

　　二人のセリフに引き込まれ、物語に引き込まれ、Julieがいるとか
　　そんな意識は全くなくなっていました。
　　二人芝居を見ている、と純粋に思えました。

　　見ている人の精神状態にもよるのでしょうけれど、
　　ズノルコのセリフが私の胸に突き刺さりました。
　　胸が痛かった。
　　涙が止まりませんでした。
　　自分と置き換えて聴いていました。

　　Julieが本を読んで泣いたという話を聞きましたが
　　それをまさに実感しました。
　　私は歌手・沢田研二が好きで、むしろお芝居をするJulieは
　　それほど好きではありませんでした。
　　一人芝居ならいいけど、
　　舞台にJulieのいないシーンがあると、ちっとも面白くないし、退屈でした。
　　だけど、二人芝居で、しかもず～っとJulieが舞台に立っているという芝居は
　　嬉しかったし、とっても良かったのです。
　　しかも内容が素晴らしかったのです。

　　あまりにも、私の心に響いて、そのつど泣いてしまいそうなので
　　毎日、通うことを躊躇してしまいそうですけれど。

　　セリフは、大変だったと思います。
　　さすが、プロです。
　　杉浦さんの関係の方もご覧になるでしょうから、Julieファンだけが見るコンサートと
　　違って、また新しいファンを獲得することになるでしょう。　
　　芝居の評論家がどういう評価をするのか、わかりませんが、どこかに誰かのコメントが
　　載ることを期待しています。

　　カーテンコールで出てきたJulieを見て
　　『おめでとう、Julie。いいお芝居でした』と心で呟きました。

　　お勧めできるお芝居です。