1987.1 No119
劇場中継 蜷川演出をくぐり抜けた美形 妖艶なり!帝劇のJulie!
10年前「同棲時代」というドラマに出演してもらうため、沢田研二に逢った時、世に名高き美少男
同席して酒を酌み交わす怪しい胸のときめきを覚えたものだった。
沢田研二は、ビスコンティの幽暗な闇の中にほの見える美少年のように完璧に美しかった。
5.6年前、TBSのサスペンスドラマの第1作「陽のあたる場所」に主演したJulieには、日々、労働
する青年のもの思わしげな疲労のようなものが感じられた。あれから、独立して自分の事務所を
作るためのJulieなりに戦いがあり、そのための沈黙があったらしい。
獅子頭のような豊かな黒髪をふり立てて、舞台に現れたJulieは、蜷川幸雄の伝説的な罵倒地獄
をくぐり抜けてきた人の確固たる足取りで、朗々とセリフをいう。その声は野太くやるせなく、ヒリヒリ
と感じ易い皮膚感覚のようなものに満ちて胸にひびいた。独立したJulieの新しい事務所の名前は
”こころ”だという。そのネーミングのように、舞台のJulieは”心”一杯に演じて、真摯で切なく魅力的
だった。そして、その眉間や目のあたりに、苦渋の河を渡歩してきた人の影のようなものを感じとった
のは僕だけだろうか。
舞台に出て来た時、日常の次元を超えて、夢みるような絵姿にピシャとおさまる役者がいる。
五世福助や十五世市村羽左衛門がそんな役者だったときいた。沢田研二の舞台姿には、そんな
役者達を彷彿とさせるところがある。Julieが舞台に出てきた時、僕のまわりの客席に”シワ”が寄った。
舞台というジャンルは、心機一転した沢田研二の新しい展開のために大事な活躍の場になるのでは
ないだろうか。
泉鏡花の三部作「貧民倶楽部」「照葉狂言」「黒百合」の再構成は、必ずしも、うまくいってるとは
思えないが、鏡花と蜷川幸雄の数多くの共通性-大衆的な話法、幻想的、超現実思考、物語性、
カタルシスを目ざすエンターティナーの要素-に相ひびき合う形で、沢田研二の天賦の資質が、まことにうまく合体して、Julieの舞台出演は成功していた。
この組み合わせはもっと早く実現しても良かったのではないか、それが不思議な位だった。
当分の間、沢田研二は蜷川幸雄の常連になるのではなかろうか。
TBSプロデューサー 龍至政美
秋も日増しに深まり、朝夕めっきり寒くなってきましたが、 皆様お変わりございませんか? いつも、沢田研二への暖かいご支援、誠にありがとうございます。 さて、会員の皆様には突然のお知らせで恐縮ですが、 この度、沢田研二ファンクラブを8月81日付けにて、解散させて いただくことになりました。 ザ・タイガースとしてデビュー以来、21年間余りファンクラブ会員として、 沢田研二を熱い心で応援していただきありがとうございました。心より 御礼申し上げます。 会員の皆様にとってファンクラブを解散しますと言っても、なかなか 納得のゆくものではないと思いますが、ただ、会報を送るだけの現状に ついて、これで良いのだろうかと常々考えてきました。 ファンクラブは、ファンの方々の自主的な盛り上がりで成り立つもので、 今この時期にあたり、もう一度その原点に立ち戻ろうと、解散に踏み切った 次第です。 今後は、沢田研二を愛してくださる方々が、お互いにコミニュケーションを はかったり、自由にそれぞれのサークルを創っていただけたら幸いです。 ココロは、そうした方々やサークルに対しての御協力は惜しまない所存です。 ファンクラブ解散の件、御了承の程お願い申し上げますと供に、長年にわたる 会員活動に対して重ねて深く御礼申し上げます。 沢田研二は、これからも走り続けます。今後供、変わらぬご支援を お願い致します。 昭和62年 秋 株式会社 コ コ ロ 沢田研二ファンクラブ |
要するに今の私がやっていることが「自主的な盛り上がり」であり、「お互いに
コミンツケーションをはかったり」 「それぞれのサークルを創って」 「思い思いに
沢田研二を語り、仕事振りを見守って」いるんじゃないかな。
支部というものではないのかな、今現在の。
会報を送るだけの現状であってもポリシーさえあれば、それで良いのでは
ないかと、思うのです。
「そうした方々やサークルに対して」協力は惜しまないとのこと、
ようやく(株)ココロという名前が出てきたので、私としても心強く思います。
いくつかある 支部 がサークル だと思うのです。
生き残った支部、サークル、頑張ろうね!
横浜のステージより
『・・・マスコミなどに躍らされて動揺したり、陰険な手紙をよこさずに、
自分を信じなさいよ。マスコミを信じるか、好きな人を信じるか、どっちを
取るかって言ったら、決まっているでしょ・・・。何年、ファンやってんだ、
どうせやるなら、ファンのプロになりなさい。』
7/2 | 7/3 | 7/7 | - | 7/10 | 7/12 | 7/14 | 7/15 | 7/17 |
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1987.6 No.123